1日目は早く就寝したので、2日目はまだ外が暗いうちに目が覚めてしまいました。
7時から朝食と説明を受けたような気がしたので、ロビーに行ってみると、朝食は8時からとのこと。
聞き間違いでした。
1時間外を散歩してきたらと勧められ、ゴールの城壁の周りを1周歩いてきました。
ホテルから出て思うのは、まず犬が多い。
野良犬が平然と歩いています。
お茶屋さんを物色する犬。
スリランカの犬はやっぱりセイロンティーをたしなむのだろうか。
おしゃれなドアの前で佇む犬。
街並みを見守る犬。
インド洋と犬。
海外を旅する時は、野犬に十分注意してください。
噛まれると狂犬病などに感染するおそれがあります。
とはいうものの、この写真の最後の犬は、ずーっとついてきて、まるで地元を案内してくれているようでした。
スリランカでは、人も犬も観光客にずーっとついてくる。
そんな印象を持ちました。
朝8時前にも関わらず非常に暑いのですが、城壁の上を歩いているとインド洋の素晴らしい景色を見ながら、
「ああインド洋だなぁ」
という気分にふけることができます。
城壁の上を歩く室長。
見慣れない鳥たちが姿を現してトロピカルな気持ちを盛り立てます。
くわえているのはおそらくヤモリ。
城壁にとまるカラス。やはり痩せている。
だんだんと暑さに耐えられなくなり、喉も乾いてきたので、ホテルに戻ります。
ホテルに帰る道すがら、おしゃれなアートギャラリーを見つけました。
ライオンがドッカと居座っている。
汗だくになりながらホテルに戻ると、すぐに朝食を準備してくれました。
フルーツだけでなく、このあとオムレツも持ってきてくれて、お腹いっぱいです。
朝食は、素敵な庭の前で食べたのですが、ここにも動物たちがたくさん住んでいるようです。
朝食後は、すぐに出かけようと思ったのですが、けっこう強い雨が降ってきて、やむまでホテルで待っていました。
スリランカはこの時期雨季なのです。
ホテルを出発したのは、10時くらいになったでしょうか。
この日の目的地は、島の南東にあるヤーラ国立公園という野生動物の生息地です。
今回の滞在では、ほとんどの都市間移動にバスを使いました。
スリランカは、鉄道があまり発達していませんが、ほとんどの場所はバスで行けるのです。
ホテルのフロントの人に今日の目的地までのバスについて尋ねると、バス一本で行けるようでしたので、少し安心です。
バスターミナルに着くと、ホテルで教えてもらったバスが見当たりません。
案内所に行くと、そんな路線はないとのこと。
「行けねんかい」
と思いましたが、仕方のないこと。
途中でバスを1度乗り換える行程になりました。
まず、マータラ(Matara)というところまで、1時間半ほどのバスに乗り、一休みです。
昼食は、バスターミナル近くの小さい売店で売っていた、カレーパンのようなものです。
カレーパンと思って買ったわけではないのですが、買ったらカレーパンでした。
やはりカレーの国です。
ワイルド研秘書は、迷わずココナッツジュースを買っていました。
注文すると、お兄さんがナイフで切って飲み口を作ってくれます。室長はこういうものにはあまり手を出さないタイプなのですが、ためしに飲んでみると意外と美味しい。
地元のサラリーマンと思しきスーツを着たおじさんも、このココナッツジュースを買って飲んでいました。
きっと、スリランカではこれが昼の一服なのでしょう。
飲み終わったら、ココナッツ専用ゴミ袋に捨てます。
この国では、燃えるゴミ、プラスチック、ココナッツという分別です。
何かのためにリサイクルするのかもしれません。
マータラのバスターミナルの近くには、何やらキレイな建物がありました。
行ってみると、お寺のようでした。
お坊さんに「入ってこい」と手招きされましたが、なんかアレなので戻ってきてしまいました。
バスターミナルに戻り、次のバスを探します。
今度はティッサマハーラーマ(Tissamaharama)というところまで、3時間半ほどの長丁場になります。
バスはすぐに見つかりました。
車掌さんが、
「ティッサ、ティッサ、ティッサ、ティッサマハーラーマぃ!」
と叫んでいます。
ちなみに、マータラ行きは
「マータラ、マータラ、マータラ、マータラぃ!」
と連発していました。
海沿いの道を走るためバスからの風景はとてもよく、3時間以上の道のりが意外と短く感じました。
ただ、ドライバーさんの運転の荒さは想像以上でした。
「ああ、これはもう事故った」
と思った瞬間が何度もありました。
基本的に道は舗装されていて片側1車線ずつなのですが、車線という概念はほぼないに等しいのです。
自分のスピードより遅い車が前にいたら、反対車線にはみ出して必ず追い越します。
対向車が来て追い越せない時は、前の車にビッタリくっついて、常に追い越しのチャンスを伺います。
その時の車間距離の狭さといったらありません。
50-60キロは出ていても、1メートルくらい後ろにくっつくのですから。
日本でやったら確実に逮捕されるレベルです。
無事にティッサマハーラーマのバスターミナルに到着したのが、午後4時くらいだったでしょうか。
ここから、宿泊するホテルまではまだ10キロ程度の距離があります。
どうしようかと考えていると、観光客であることがバレバレなのか、すかさず見知らぬおじさんに話しかけられます。
「サファリに行くんだろ?」
ジープから降りて来たそのおじさんは、こちらの予定を決めつけています。
でも、おじさんの言う通りなのです。
ヤーラ国立公園で、動物を見るためのジープサファリに参加するのが、ここに来た目的でした。
ですが、バス停までの迎えなんて頼んだ覚えがありません。
「誰かシナモン・ワイルド・ヤーラ・ホテルに泊まるって言うから、迎えに行けって言われたんだ」
確かに予約していた宿の名前をおじさんは言います。
そんなにすぐに信用するわけにも行かないので、秘書と視線を見合わせていると、
「ほら、これを見ろ」
と、Safari Officerとかなんとか書いてある身分証のようなカードを見せて来ました。
そんなものを見せられても、「NHK」と書いてあるのか「NNK」と書いてあるのかわからないのと同じで、イマイチ信頼できません。
でも、あまりにも「何で乗らないの?」という態度を崩さないし、
「お金を払う必要がありますか?」
と訊くと、いらないと言うし、
「ホテルの食事は高いからスーパーに寄りたいんだけど」
と言うと、自分たちも行くと言うし…
結局このおじさんのジープに乗せてもらうことにしました。
携帯のGPSをつけて、本当に目的のホテルに向かうかどうか確かめながら。
バス停からホテルまでは結構な距離があります。
というのも、予約したホテルは国立公園のすぐ近くにあるからです。
GPSで確認すると問題なくホテルの方角に向かっていて、おじさんへの疑念も徐々に晴れてきます。
ホテルに向かう途中、おじさんは何度もジープを止めて動物を見せてくれます。
「ほらあそこにクジャクが」
「サルがいるぞ」
国立公園に近づくにつれて、見られる動物も多くなって来ました。いい感じに盛り上がってきたところで、おじさんは訊いてきました。
「サファリツアーはもう予約したのか?」
日本にいる時に、ホテルを経由して既に予約したことを伝えると、
「1人80ドルか。ヨーロッパから来た他の2人のお客さんと一緒になっちゃうけど、うちなら1人50ドルにしてやる」
と、猛烈な営業をかけてきました。
「だけどもう予約しちゃったんだよなぁ」
と答えると、
「ホテルで予約すると、マージンを取られるんだよ。ツアー内容は同じだから絶対うちの方が得だよ」
とグイグイきます。
ワイルド研秘書は、何かだまされている感じがするのか、
「おこづかい欲しいだけなんじゃないの?」
と半信半疑です。
でも室長は、不思議と直感しました。
この人は多分信じて大丈夫。
2人でトータル100ドルのうち、前金で60ドル払いました。
すると、おじさんはノートに自分の名前やら何やら書きなぐって、ビリっと破いて渡してくれました。
(クマルさんという名前だそうです)
えっ? これがチケット?
いい加減な感じですが、クマルさんは、ちゃんとホテルまで送ってくれました。
しかし、ここでアクシデントが。
宿泊する予定だった宿、シナモン・ワイルド・ヤーラに着くと、まさかの客室トラブルで宿泊できず。
エアコンが壊れて動かないという説明でしたが、隣のホテルにアップグレードした部屋を用意したし、夕食も無料でつけるから、と言われて物分かりの良い(懐柔されやすい)室長はすんなり受け入れました。
しかし、ワイルド研秘書は気に入らない様子。
たしかに、シナモン・ワイルド・ヤーラは、周辺まで野生動物がたくさんやってくる宿としてネットでも紹介されていて、ここに宿泊するのを楽しみにやって来ました。
少し泣きそうになっている秘書をなんとかなだめ、クマルさんのジープに乗って新たなホテル、ジェットウイング・ヤーラへ。
ここでサヨナラでもよかったはずなのに、クマルさんはちゃんと新しいホテルまで送ってくれました。
しかし、ホテル変更の件もあってか、ワイルド研秘書は、
「きっと明日迎えに来てくれないよ」
と、最後までクマルさんに心を開きませんでした。
案内された部屋はすばらしく、広いバルコニーからインド洋の水平線が見えます。
近くまで、ゾウが来ることもあるそうです。
(私たちは見られませんでしたが)
シャワールームの天井は外と通じていて、カエルも入ってきていました。
さすが、ワイルドな演出も忘れません。
たまに葉っぱが降ってきますが、ちゃんと清潔です。
この日は、無料でつけてくれたホテルの夕食バイキングを食べ、早めに就寝しました。
明日は、いよいよジープでのサファリです。
Day 3へ続く。