本日(8月31日)発売の『愛犬家の動物行動学者が教えてくれた秘密の話』は、犬たちの行動をあらゆる角度から研究してきた動物行動学者、マーク・ベコフ氏の最新の翻訳書です。
自分の飼い犬を含め、ドッグパークなどで出会った何千頭という犬たちの行動を観察してきた彼は、まさに犬の行動学のスペシャリストです。
彼が犬たちを観察するときに大切にしている流儀があります。
それは、犬たちの「違い」に着目することです。
伝統的に科学研究では、「法則」を見つけることを重要視してきました。
たとえば、犬Aで見られた行動パターンが、犬BでもCでも、その他のどんな犬でも見られた場合にだけ、それが「犬」という動物の行動パターンであると認められるということです(ちょっと極端ですが、、、)。
逆に、ある行動が犬Aで見られても、他の犬が同じ行動をとらないのであれば、それは「犬」の行動として認められないのです。
でも本当にそのような考え方でいいのでしょうか?
ポチにはポチなりのお気に入りの場所があるし、シロにはシロだけの遊び方があります。
マーク・ベコフ氏は、たくさんの犬たちを観察するなかで、それぞれの犬の行動には個性があることを再発見しました。
この見方は、伝統的な科学の方法には反しているかもしれませんが、厳然たる事実と言えるでしょう。
彼はこの考えに基づいて、犬の行動を調べる時には、個々の犬の違いも含めて研究すべきだと提唱しているのです。
著者のマーク・ベコフ氏は、犬の飼い主や犬が好きな人たちに「市民科学者」になってみることを勧めています。
科学者とは言っても、大学や研究所で働きなさいという意味ではありません。
自分の飼っている犬や身の回りにいる犬たちを科学的な視点でよく観察してみよう、という誘いです。
人の股ぐらに鼻先を突っ込んだり、急に飛びかかって行ったり、人間からすると「行儀が悪い」と感じる行動を犬がとる場合もあります。
ですが、そんな行動にも犬ならではの論理が隠されています。
そしてそれを理解するためには、私たち一人ひとりが動物行動学者になる必要があるのです。
犬たちの行動を犬たちの視点で理解することこそが、犬にとっても飼い主にとっても幸せなことなのだと、著者は強く訴えているのです。
著者が出会った犬とその飼い主たちとのユーモアに富んだエピソード満載の本書は、私たちが「市民科学者」になって個性あふれる犬たちの行動を理解することで、犬たちとの生活を幸せに満ちたものにするヒントを与えてくれます。
犬を飼っている人は「何でうちの犬はこんな変な行動をとるのだろう?」と疑問に思うことがあるのではないでしょうか?
「犬は人の言っていることがわかるのか?」「犬の知能は測れるのか?」など、犬好きなら誰もが抱いたことのある疑問の答えも、ここで見つかるかもしれません。
本書の翻訳作業には、「ワイルド研室長」こと布施雄士が協力させていただきました。
仕事用のHPはこちらです。
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灯バイオロジーオフィス
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