うしさんと話すのが暇つぶしにはなりますけどね。
なんかもっと、ポジティブな考え方はできないものかね。
だけど、ポジティブに考えるってどうすればいいんですか?
考えてみれば、僕ら動物にもポジティブとかネガティブとかってあるんだろうか?とりあえず、アルパカ先輩に訊いてみよう。
ニワトリを使って動物のポジティブさについて調べた最新の研究を紹介するよ。
スウェーデンのリンショーピング大学を中心とした研究グループは、ニワトリのヒヨコを使って、ストレスが動物の「ポジティブさ」にどう影響するのか調べました。
研究者たちが、ヒヨコに与えたストレスは、「予期できない刺激」です。
急に大きな音を出すと動物はびっくりしますが、これを1日に何度か繰り返したのです。
ヒヨコに聞かせた音は、大音量のヘビーメタルや電車や飛行機の音で、これを1日の中でランダムに聞かせました。
さらに、突然照明を落としたり、つけたりして、ヒヨコを不安な気持ちにさせるような環境を作ったのです。
このような状況を経験した動物が、楽観的な(ポジティブな)判断をするのか、それとも悲観的な(ネガティブな)判断をするのか、研究者たちは調べました。
研究者たちは、ストレスを与える前と後で、ヒヨコのポジティブさがどう変化するかを調べたんだ。
「ポジティブさ」という言葉を言い換えると、判断が難しい微妙な状況になった時にも、戸惑うことなく「えいやっ!」と行動を起こせる性格、とも言えるのではないでしょうか。
そこで研究者たちは、ヒヨコに「これは微妙だぞ」という問題に直面させ、行動を起こすまでの時間を計測したのです。
行動を起こすまでの時間が短い場合は、「イケイケ」な性格、つまりポジティブということです。
逆に判断までに時間がかかった場合は、「考えすぎ」な性格、つまりネガティブと判定したのです。
まず、ヒヨコに白黒2色の四角形とその前に同じ色のエサ入れを見せます。
常に黒の側だけにエサを入れて、白には入っていないことを覚えさせます。
その後で微妙な色、つまり「黒っぽい灰色」や「白っぽい灰色」のエサ入れを準備して、エサ入れに近寄るまでにどのくらいの時間を要するのか、測定したのです。
(白と黒を逆にした場合にもテストを行っています。)
判断にかかった時間が短いということは、
「白か黒かわからないけど、多分エサがあるだろう」
というポジティブな反応と言えます。
逆に、判断に時間がかかった場合には、
「白か黒かわからない。多分エサはないんじゃないか」
というネガティブな反応と言うことができます。
この判定基準を使って、落ち着くことのできない環境では、動物のポジティブさがどう変化するのか調べました。
すると、予期できない音や光でストレスを与えた後では、ヒヨコが微妙な色のエサ箱に反応する時間が長くなった、つまりネガティブな反応を示すようになったのです。
育った環境によって、ストレスを経験した後のネガティブさにも差が出ることがわかったんだ。
研究者たちは、飼育環境がネガティブさに与える影響も調べています。
彼らは、ヒヨコを次のような2つの異なる飼育環境で育てました。
部屋A 「シンプルな部屋」
おがくず、エサ箱、水のみタンクだけがある。
部屋B 「遊び心のある部屋」
部屋Aにあるものにプラスして、積み木や色々な高さの止まり木が置かれ、身を隠せるトンネルも用意されている。
このような2つの違う部屋を用意することで、飼育環境がヒヨコの行動の「ポジティブさ」に影響するのか調べたのです。
先ほどと同じようなテスト方法で調べてみると、部屋Aで育ったヒヨコは、ストレス経験後にネガティブな行動をとる場合が多かったのに対して、部屋Bで育ったヒヨコたちは、ネガティブな行動への影響が軽減されたのです。
おもちゃがたくさんある、つまり多様な刺激がある飼育環境によって、ストレス行動への影響が緩和されることがわかったのです。
ポジティブな気持ちになってきたぞ。
参考文献
Zidar et al. 2018 Scientific Reports 8: 5404