スリランカDay8 ガネーシャをめぐる1620ルピーの攻防

Day7我思うゆえに我カメラ目線より続き

ついにスリランカ最終日。
長かった旅も今日で終わりです。
やり残したことと言えば、お土産を買うことくらいでしょうか。

ホテルのほど近い場所に、ガイドブックおすすめのお土産屋さんがあることがわかったので、行って見ることにしました。
しかし、「ちょっとそこまで買い物」ということで終わらないのがスリランカの面白いところ。

歩いていると、陽気なお兄さんが話し掛けてきます。
「やあ、どこから来たんだい?」
「日本です」
「そうなんだ。日本には僕の知り合いがいるよ。ところで、今からどこ行くんだい?」
「お土産屋さんだけど」
「そこには歩いて行けないんだ。大通りがあって歩いて渡れないからね。トゥクトゥクで50ルピーだから乗って行きなよ」
とお兄さんは、勝手にトゥクトゥクを止めました。

何やら現地語で運転手さんと話しています。
料金交渉もしてくれて、本当に50ルピーだけだというので、乗って行くことにしました。
ところが、トゥクトゥクはちょっとだけ走った所で駐車場に入って行きます。
明らかに近すぎです。
「何ここ?」と訊くと、どうやら宝石屋さんのようです。
中からは、手揉みをしながら店員さんが出て来ました。
トゥクトゥクから降りることを断固拒否すると、意外とあっさり運転手さんは本来の行き先に向かってくれました。
先ほど話し掛けてきたお兄さんは、どうやら宝石屋さんのまわし者だったようです。
トゥクトゥクの運転手さんとグルだったら危なかったな、と思いましたが、運転手さんはいたって普通の親切な人で、目的地に着くまで片言の日本語で話しかけてくれました。

到着したのは、ラクマデュラ(Lakmedura)というお店。
5階建てのビルで、1階から5階まですべてお土産屋さんという作りになっています。
フロアごとにジャンルが違って、雑貨のフロア、洋服のフロア、革製品のフロアなどに別れていました。

ここでは、お会計の方法が面白いシステムになっていました。
まず、各階ごとに買いたいものをその階の店員さんに渡します。
すると、品目と値段を書いた伝票を渡してくれます。
買った商品は店員さんが1階まで運んでくれるので、自分で持って歩く必要はありません。
最終的にすべての階で買い物が終わったら、1階のレジに伝票を渡し、お金を払って商品を受け取るという流れになっています。
店員さんもあまりグイグイ話しかけて来ないので、日本人もゆっくり買い物できると思います。
このお店には本当に何でもありますし、安いので、ついついたくさん買ってしまいました。

またゾウのTシャツを買ってしまった。

秘書は、浮かれた柄のワンピースを購入。   

ゾウの刺繍がキレイだったので買ってしまいました。

スリランカらしい小物。
国旗のシールはどこに貼ろうか考え中。

スリランカに生息している鳥のガイドブック。
あとでゆっくり自分が撮った写真と見比べながら楽しもうと思います。

さて、もうやり残したことはありません。
ホテルに戻って荷造りをしました。

宿泊した部屋には大きな鳥の絵が描いてありました。
もちろん記念撮影を忘れません。

ホテルをチェックアウトすると、タクシーで空港へ向かいます。
昨日動物園まで連れていってくれた運転手さんが感じの良いおじさんだったので、この日も空港まで連れていってくれるように頼んでおきました。

コロンボの空港は小さい空港で、あまりお土産屋さんなどないと思っていたのですが、セキュリティチェックを通過した後には結構たくさんお土産屋さんがあって、時間を潰すことができました。

空港のお土産屋さんで特にオススメしたいお店は、emBarkという犬グッズ屋さんです。
ありふれたデザインではなくて、オリジナリティ溢れる可愛らしい商品を取り揃えています。

犬がトゥクトゥクに乗っている。

秘書も購入。
この店にはTシャツの他にもぬいぐるみなどのグッズがありました。

手元にスリランカルピーも少し余っていて、日本円に換金してもあまり大きな額にならないので何か適当なものを買ってしまおうと、他の店も回っていました。

ここで、室長と秘書の小競り合いが始まります。

室長は、秘書に好きなものを買ってもらえばそれで良いと思って任せていたのですが、優柔不断でなかなか決めることができず、どんどん時間が経っていきます。
歩き回って疲れたので、室長は何も買わないのなら飲み物でも買って使ってしまおうと、バーガーキングのラズベリーシェイクを買いました。
しかし、これが6ドルもしたのです。
(空港内では、物の値段がすべて米ドルで書かれていました。もちろんルピーで支払いもできます)
秘書は、何でこんなに高いジュースを飲まないといけないの! と不満そう。
(秘書もグビグビ飲んでいます)
ここで、あらためて財布の中身を確認すると、1620ルピー。
ドルに換算するとちょうど10ドルくらいです。

なんでもいいから早く使ってしまいたい室長と、何か価値あるものに使いたい秘書。
でも、十分にお土産は買いましたし、空港内にはありふれたお土産しかありません。
秘書が、ちょっと欲しいなと思って値札を見ると、10ドルを超えているものばかり。
もう一度、「なんでも買っていいんだよ」、と秘書に言いましたが、なかなか決められない様子。

そこで、室長はプレッシャーをかけることにしました。
「買わないんなら、ガネーシャ買っちゃうよ」
そう言って、お土産屋さんにズンズン入って行き、ガネーシャの人形を選び始めました。
本当にガネーシャを買われては困ると思った秘書は、そのお店にあったものの中から何か目ぼしいものはないか、一生懸命に選び始めました。
結局秘書が選んだのは、8ドルのマンゴー風味の紅茶でした。
そして、余った2ドルは…

結局小さいガネーシャの人形を買いました。

帰りは、スリランカ航空の直行便で、成田空港へ。
乗り換えもなく、楽に帰ってくることができました。

自宅近くのファミリーマートでインスタントのアサリ汁を買って帰り、旅の間補給することができなかった日本人成分を取り戻すと、ようやく自分の家に帰って来た気分になったのでした。

*  *  *

エピローグ

ああ、人を信頼するということは、難しいなぁと思うのです。

日本にいれば、街で知らない人が話しかけてくることは、ほとんどありません。
何かが欲しい時は、スーパーで値札が貼ってある物を買えばいいし、タクシーに乗ればメーターが自動で料金を計算してくれます。
日本で普通に生活している限り、信頼できない人が日常生活に入ってくることもないし、物やサービスが適正な価格なのか、個人がいちいち判断しなくてもよいのです。

今回の旅では、自分の「人や物を見る目」を問われる局面がたくさんありました。
このおじさんについて行って本当に大丈夫か?
この値段で本当にいいんだっけ?
結果として、ほとんどスリランカ人のなすがままでしたが、普段出会うことのない刺激ばかりで、これが海外旅行の醍醐味なのかもしれません。

一つ気づいたのは、スリランカ人はおせっかいで世話好きということ。
地元の人が旅行者に声をかけるのは、もちろんお金を稼ぎたいという下心もあるでしょう。
でも、彼らの商売の仕方をよく観察してみると、まず自分ができるサービスを相手に提供して、それからお金を請求するのです。
「自分は困っているあなたにこのようなことをしてあげました。だからお金ちょうだい」
というロジックです。
日本だとこれは中々受け入れられないのかもしれませんが、私は「仕事」というのは本来そういうものだと思うのです。
スリランカに行かれる方がいたら、ぜひ日本人にはこの考え方の違いを楽しんでもらいたいなと思いました。

ガイドブックや数々のブログに書かれている通り、スリランカの人たちはいい人ばかりでした。
ヌワラエリヤでぶっ倒れた時に、休ませてくださったBluefield Tea Gardensの方たちには、特に感謝の気持ちでいっぱいです。

Bluefield Tea Gardensにはお礼の手紙を送らせていただきました。
本当は、せんべいを1箱送りたかったのですが、スリランカの法律上、食品を国際郵便で送ってはいけないらしく、郵便局で止められてしまいました。

私たちはもう日本での生活に戻っていますが、空港で買ったマンゴーティーを飲みながら、親切なスリランカたち人の面影と、珍しい姿を見せてくれた動物たちのことを思い出しています。
秘書は、6ドルのラズベリーシェイクを買ったことに対して、今だに文句を言ってきますが…

この文章を最後まで読んでくださった方々もありがとうございました。
スリランカのスパイシーな空気を少しでも感じていただければ嬉しく思います。

 

 

スリランカの旅 終わり

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