昨晩買っておいた朝食をお腹に詰め込むと、この日はコロンボへと出発しました。
早めにホテルをチェックアウトすると、インターシティバスの乗り場を探します。
スリランカのバスにはグレードがいくつかあって、エアコンなしのものが「ノーマルバス」、都市間の長距離移動をする人が多く利用するのがエアコン付きの「インターシティバス」です。
インターシティバス乗り場は、他のバスが出ているターミナルから少し離れた場所にありましたが、すぐに見つかりました。
車掌さんが、
「コロンボ、コロンボ、コロンボ、コロンボぃ!」
と連呼していたからです。
山下りの車中で酔ったことで、室長はすっかりバスに恐怖心を抱いていましたが、秘書に励まされ、3時間程度の移動をなんとかこなし、コロンボのバス停に到着しました。
ここからは、ホテルに荷物を置くため、トゥクトゥクに乗って移動しようと決めていました。
トゥクトゥクの料金は、基本的には交渉制で、お客さんと運転手さんで事前に話し合って料金を決めます。
ワイルド研秘書は、絶対にぼったくられるものか、と鼻息荒く値段交渉にのぞみました。
彼女がネットで調べたところによると、1キロ50ルピーくらいが相場らしいということでしたので、約3キロ先のホテルまでは150ルピーということになります。
まずは、値段を尋ねると、
「450ルピーだ」とトゥクトゥクのお兄さん。
「200ルピーじゃだめ?」とすでにやや弱気の秘書。
「いやぁ、そこはコロンボ3区だから遠いんだよ」
「ちょっと高すぎじゃない?」
ここでトゥクトゥクのお兄さんは、隣に停めていたトゥクトゥクの運転手に助けを求めます。
「高くないよなぁ? だってコロンボ3区だもんなぁ?」
「高くない、高くない」
と仲間をフォローします。
ここで、こちらは作戦会議。
というか、秘書がものすごい不満顔でこちらを見てきます。
しかし、値段交渉は秘書にお任せ。(無責任)
多少高くても、体調のことを考えて早くホテルに行きたかったのです。
気を取り直した秘書は、かなり妥協して、
「400ルピーではどう?」
と訊くと、お兄さんはあっさりOK。
まんまと術中にはまったという感じです。
コロンボの宿は、dwellというホテル。
この旅で泊まってきた宿の中では、一番豪華な感じ。
帽子をかぶった陽気なスタッフが迎えてくれます。
玄関入ったらすぐのところに、ドーンとゾウの絵があります。
なんでも、日本人の方が経営しているホテルらしく、日本人スタッフの方もいらっしゃいました。
ここまで、長らく旅をしてきた身としては、日本語が身に沁みます。
フロントには、台湾出身の方もいて、秘書と中国語で何やら話し込んでいました。
チェックイン後、ホテルの1階にあるカフェで昼食をとりました。
値段はそれなりにしますが、ハイクオリティでちょうどいい量のご飯を出してくれます。
栄養補給をした後、この日のメインイベントに向かいます。
コロンボ市内にある、デヒワラ動物園でゾウのショーを見るのです。
動物園までの距離はさほどないのですが、タクシーで行くことにしました。
日本ではタクシーで動物園に行くなどというのは贅沢の極みですが、動物園まで送ってくれて、しかも運転手さんが待っていてくれるというのでお願いしました。
しかもたったの3000ルピー(約2100円)。
インド洋を見ながら、タクシーで動物園へ向かう男。
運転手は、優しいおっちゃんでした。
チケットを買ったらさっそく動物園内を探検です。
ダチョウがお出迎え。
水草の緑と花びらの赤のコントラストが綺麗。
そこにデンと居座っている鳥。
仲良しオウム。
クマは暑そうでした。
静かに過ごすトラ。
スナドリネコの鋭い目線。
英語では、fishing catといって魚を獲って食べるらしい。
濁った水に身をひそめるコビトカバ。
動物園の中は、非常に暑く、時間もなかったため、せかせか歩きました。
リスもおやつを食べて休憩していました。
(このリスは野生です)
この動物園で個人的にオススメしたいのは、鹿コーナーです。
鹿の飼育スペースは、人間の歩く場所から2〜3メートルくらい下にあるため、鹿たちがこちらを見上げてくる形になります。
あまりにもこちらに興味深々なので、まるで証明写真のように真正面から撮影することができます。
ゾウのショーは毎日夕方16時半からやっているので、他の動物を見て回ります。
貫禄のオランウータン。
ライオンの3兄弟は、母親の近くで元気に遊びまわっていました。(激しく動くので兄弟そろっての写真はボケボケ)
大きなあくび。
園内は意外と広く、歩き回るとかなり暑い…
秘書が疲れたと言うので、少し日陰で休んでゾウのショーを待ちました。
この時は見逃してしまいましたが、アシカのショーなどもあったらしく、もう少し体力がある時にゆっくりと見て回りたかったなぁ、と思いました。
ちょうど夕方時にはキリンやラクダのエサタイムだったので、彼らがもりもりと食べている姿を見ることができました。
そんなこんなで、いよいよゾウのショーが始まる時間が近づいてきたので、会場に向かいました。
円形のホールには、ゾウと客席を仕切る大きな柵はなく、低い棒で分けられているのみです。
お客さんは、ホールの周りを取り囲む石段に座るようになっており、360度どこからでもショーを見ることができます。
平日の夕方でしたが、子供を連れたお母さんが多かったように思います。
いよいよゾウが入場してきました。
3頭が並んで入ってきます。
しっぽを掴んで前のゾウに続きます。
歓迎してくれました (.-_-.)
この後も、ゾウさんの芸当が続きます。
ブワーッとやったり、ポロンとやったり。
様々な技に会場が沸きました。
(あまり書いてしまうとネタバレになってしまうので、アップ写真だけにしておきます。)
歓声を上げている会場とは裏腹に、ワイルド研室長と秘書は、少し違う思いを胸に抱いていました。
この動物たちはここで暮らしていていいのか?
ここまで旅をしてきて、広い自然の中で生きている動物たちを見てきたからでしょう。
飼育動物と野生動物の生活があまりにも対照的に見えて、困惑してしまったのです。
広い自然の中で暮らしている野生動物が幸せで、小さな場所に閉じ込められた動物園の動物が不幸である、ということはないでしょう。
自然で生きるということは、食う食われるのシビアな世界で生きること、つまり明日の保証がないということだからです。
では逆に、目の前で芸をしているゾウたちは幸せなのだろうか?
この問いについては、なかなか答えを出せない室長と秘書なのでした。
やがてゾウたちは、すべての芸を終えて、自分の家へと帰って行きました。
ワイルド研の2人もホテルに帰ります。
タクシーのおっちゃんは、駐車場でちゃんと待っていてくれました。
* * *
ホテルに着くと、夕飯を食べるために外に出ました。
少し歩くと、店先に美味しそうなチキンを売っている店がありました。
店の中は少し薄暗かったので、室長はビビっていたのですが、秘書はズカズカ中に入って行きます。
ここは、地元の人が食べるような食堂で、日本でいえば「近所の定食屋」といったおもむきのお店でした。
「チキンだけでいいのか? ご飯はつけないのか?」
と訊かれたので、壁にチャーハンみたいな料理の写真が貼ってあったので、それを指差して、これも付けてくれと頼みました。
かなり疲れていたので、ホテルの部屋でゆっくり食べるために持ち帰りにしてもらいました。
ワイルド研秘書のような若い女の子が店に来るのが珍しいのか、「持ち帰りにする」と言うと店のお兄さんたちは少し残念そうにしていました。
ご飯がパンパンに入っている。
これがスリランカ最後の夜の夕飯でした。
お腹一杯です。
Day8に続く。