「少し辛いか、たくさん辛いか、いずれにしても辛くないという選択肢はない!」
これは、ワイルド研秘書が、四川料理について説明した時のセリフです。
これを聞いて、大半の日本人は多少なりとも不安に感じるでしょう。
誰もが辛さに強いわけではないし、辛さに慣れているであろう四川出身の人間の言う「少し辛い」は、日本人にとっての「たくさん辛い」である可能性が高いからです。
スリランカでぶっ倒れたワイルド研室長は、次の旅は万全の体調で臨みたいと思っていました。
ですが、体調管理の基本である食事に不安を抱えたままでは、なんとも心もとない。
なんでわざわざ脱落者が出るほど、辛い調味料を入れるのだろうか?
出発前から室長は、これから出会うであろう鍋の中でグラグラと煮える真っ赤な汁を想像し、なぜかほんのりと怒りのようなものを感じながら、成田空港へと向かったのでした。
今回の旅程は、すべてワイルド研秘書にお任せしてあります。
航空会社はもちろん四川航空です。
スパイシーな赤がイメージカラーになっている四川航空の受付カウンターに並びます。(手前は秘書のデコ)
夕方に出発する便だったので、夕飯に相当する機内食が出るとのことでした。
秘書はこの機内食をとても楽しみにしていて、四川っぽいものが出されるようなことを言っていたのですが、聞けば聞くほど、辛いものが苦手な室長にとってはプレッシャーになります。
ところが予想に反して、出てきたのはいたって日本風なメニュー。
秘書も「あれっ?」と意外な様子でしたが、
「きっと四川から乗った時と違うんだ」
と、もう帰りの飛行機のことを考えているようでした。
食事自体は普通でしたが、
ほかの航空会社では見られないサービスが、1つありました。
客室乗務員の人たちが、ビンに入った辛そうな調味料を配って歩いているのです。
欲しいと言うと、スプーンでひとすくいしてご飯の横に乗せてくれます。
辣椒酱(ラージャオジャン)というものだそうです。
このサービスは面白いなぁと思ったのですが、それよりも面白いのが、ご飯に乗せてもらった秘書が、「どうだ!」と言わんばかりに誇らしい顔をしてこっちを見てくるのです。
四川人にとって、きっとこのサービスは重要なことなのでしょう。
室長は遠慮しましたが、秘書がもらったのをちょっとだけ舐めさせてもらうと、案外辛くありませんでした。
好奇心旺盛な方は、挑戦してもいいと思います。
今回は、四川省、成都(中国語はチャンドゥ)までのフライトです。
約5時間の飛行時間は、長いとも短いとも言えない時間ですが、着いたのは現地時間で深夜1時ごろ(日本より1時間遅い)。
少し眠い時間帯です。
以前スリランカに旅行した時には、空港中に充満するカレーのような匂いで、異国の地に来たことを実感したものですが、四川だからといって唐辛子の匂いは感じませんでした。
その代わりに出迎えたのは、やはりパンダ。
四川省は、パンダのふるさとなのです。
この写真のパンダが持っているのは、三星堆(さんせいたい)遺跡というところから出土した仮面だそうです。(今回は行きませんでしたが)
到着したらまず1つ目の関門が、入国審査です。
外国人とは審査の場所が違うので、頼みの秘書から離れ、1人でなんとかしなければなりません。
室長は中国語ができないので少し不安でしたが、入国審査官のところへ行きパスポートを渡すと、自動音声システムが日本語でしゃべり始めて、やることをすべて案内してくれました。
ハイテクです。
アメリカに入国する時と同じように両手の指紋を取られて、審査が完了すると、前のモニターに
「買収完了ありがとう」
という文字が。
どういう翻訳をしたらこうなるんだ? といぶかしく思いながら先に進むと、無事に秘書と合流できました。
預けた荷物が流れてくる場所には、なかやまきんに君のような俳優さん(?)の画像がしきりに映し出されていましたが、無事に荷物を受け取ることができ、税関も特に厳しいチェックはなく、外に出ることができました。
外に出た時には、現地時間で夜中の1時半を過ぎていたと思います。
到着するワイルド研一行を待っていてくれたのは、秘書のアニキ(実はいとこ)です。
深夜にも関わらず、車で迎えに来てくれたのです。
ここから秘書の実家がある徳陽市までは、高速道路に乗って1時間ほどのドライブになります。
道路工事のため空港から出る道が大渋滞だったり、高速の入り口で壮絶な喧嘩をしている夫婦がいたり(奥さん泣きわめいてました)と、小さなトラブルに見舞われながら、徳陽の実家に到着したのが、3時頃だったかと記憶しています。
ありがたいことに、秘書のお母さんが、麺を茹でて待っていてくれました。
待っている方も疲れたようで、到着したことを確認すると、お母さんはすぐに寝てしまい、ワイルド研の2人もこの日はすぐに寝てしまいました。
* * *
秘書の家には、可愛がられている犬がいます。
彼女の名前は「瓜瓜」。
ウリウリではありません。
中国語で「ぐゎぐゎ」と読みます。
「おバカさん」という意味だそうです。
秘書のアニキは、英語で色々なことを説明してくれるのですが、この子の名前に関しては「Foolish, foolish」だと教えてくれました。
英語で言われると、悪口にしか聞こえませんね。
日本ではリードに繋がないと犬を外に出してはいけませんが、中国ではそこは自由。
犬たちは、好きな時に出かけて、好きな時に帰って来ます。
秘書の家はマンションの最上階、6階にあるのですが、毎日階段をダッシュで昇り降りして、非常に元気でした。
秘書の家には屋上もついていて、そこでなんと鶏を飼っていました。
この写真を撮った日は、なぜか鶏が脱走していて、自由に屋上を歩いていました。
瓜瓜も興味深々な様子です。
犬といえば、取ってこい遊び。
滞在中、瓜瓜に覚えさせることができるのか、試してみました。
靴下を丸めたものを投げると、なんと取ってくるではありませんか!
「取って来た〜!」
と秘書に報告すると、芸など覚えさせたことがないらしく、秘書も驚いています。
「もう一回やるから、見ててね」
と、秘書の見ている前でやると、、、
取って来ない、、、
気分にムラがあるようで、5回に1回くらいしか取ってきません。
それでも、秘書と遊んでいる時は幸せそうなので、芸など覚えなくてもいいのかもしれません。
Part2へと続きます。
「秘書と行く四川と重慶Part1 夜空の辣椒酱と取ってこない犬」への1件のフィードバック